結婚なんてイヤ・・第30話。「お前は光、俺は影」
自宅の私室の鏡の前で、「わたしが結婚?父上が乗り気?」と高笑いするオスカル。
その「父上」は、オスカルの上司ブイエ将軍に呼び出されていた。どうやら女(オスカル)の指揮では兵士の士気が上がらないと、衛兵隊から苦情がきているらしい。言いにくそうに言うブイエに、「父上」は、「オスカルには結婚話が進んでいます。娘は軍人としては潮時です。」
場面は変わり、貴族の馬車を襲うテロリスト。馬車の主は出納長官ド・マルデン。テロリストの先頭は、白皙の美青年サン・ジェスト。馬車に剣を差し込んで、出納長官のお命を頂いた模様。
ロペスピエールはサン・ジェストに、「ド・マルデン侯爵の領地の圧政に抗議しろとは言ったが、殺せとは言ってないぞ」と説教するが、「抗議しましたが、返り討ちにあいました」と返される。「いいじゃないですか。貴族は皆民衆の敵とおっしゃったのは、先生です。」ロペスピエールは、「彼の氷のような狂気が気になる」とベルナールにこぼす。
で、衛兵隊。本日のパリ巡回のメンバーは、班長のアラン、アンドレその他。出発時にジェローデルが来て、オスカルに今夜の都合を尋ねるが、オスカルは勤務で屋敷には戻らないと一蹴して兵士達を追う。「パリは今、テロリスト達がいっぱいです。充分気をつけて。わたしのオスカル・フランソワ。」
パリ市街を巡回中、アランはアンドレに忠告する。「お前が隊長の従僕なのはバレていて、スパイと言う者もいる。1人の時は気をつけろ。」やがてオペラ座で貴族の男性が刺されたとの知らせが入り、さあいくぞとオスカルが号令をかけるが、隊員達は、「行きたきゃ隊長1人でどうぞ。警察に任しときゃいい。」
傷心で帰宅したオスカルは、父に呼ばれる。「苦労しているようだな」という父に、「近衛よりやりがいがある」と強がるオスカル。「お前を女として育てるべきだった」と泣き落としにかかる父に、「女として、かつては燃えるような恋もしました。しかし男として育ったおかげで、今は何もかも忘れて、男として強く生きることができます」と、むしろ父に感謝する。しかし父も引き下がらず、「女として傷ついたのなら女として幸せになれ」と。で、相手はべつにジェローデルじゃなくても良いとの事。
差し入れにきた祖母からオスカルの結婚話を聞き、傷心のアンドレに、隊員たち数名が待ち伏せて喧嘩を売ってくる。貴族に尻尾を振るやつは許せないそうだ。イライラしていたアンドレは受けて立ち健闘するが、相手多勢にてまもなくノックダウン。満足げに引き上げる加害者達であったが、アランが立ちはだかり、短剣をちらつかせながら、「片目の新入りは俺の大切な飲み友達だ。」
腰抜け加害者達が平謝りして逃げ去り、アランがアンドレを起こそうとすると、「オスカル、結婚なんてやめてくれ」と涙ながらのうわ言。そこへ現れたオスカルに、全てを悟ったアランは、「こいつはアンタに命懸けだ」と言って後を任せて去る。アランのキャラは原作とアニメでほぼ変わらないが、オスカル、アンドレとの関わり方が多少違う。原作のアランは、はじめのイザコサを乗り越えた後はオスカルを上司として尊敬し、異性として愛するようにもなったが、アニメ版では、信頼を寄せるようにはなってもさほど強い思い入れはなさそう。一方、アンドレのことは、原作でもアニメ版でも、気になって何かと絡みたくなる存在だったようだが、アニメ版では、よりわかりやすくアンドレ応援団に徹していたように思う。
帰り道、オスカルを待ち伏せてむりやり付き添ってきたジェローデルは、言ってて恥ずかしくならないか?と言いたくなるような言葉を羅列して愛の告白をするが、オスカルは全無視。それでもめげないジェローデルは、「もしわたしが貴族などという面倒な家柄でなければ、あなたの従僕にでも馬丁にでもなってみせるのに」と無神経発言に及ぶ。ここでオスカルはようやく口を開き、「貴族である以上、従僕の事を言う資格はない。あなたにも、わたしにも。」そして1人で走り去る。
で、ジャルジェ家。オスカル父によれば、ブイエ将軍がオスカルの為に舞踏会を開いて下さるとの事。ドレス姿で化粧をして参加するように「命令」されるも、オスカルは無言でピアノの演奏を続けていた。
後日の白昼、馬車に2人で乗車中のブイエ将軍とオスカル父。オスカルの意思はイマイチ不明だが、ブイエ将軍はノリノリで舞踏会を決行する模様。が、行くてには待ち伏せるサン・ジェストの目が光る。ターゲットはブイエ陸軍参謀総長。御者をボーガンで仕留め、馬車本体に飛び乗り、窓から弾丸を撃ち込むが、間違えてオスカル父に当ててしまった。
父負傷の報に慌てて帰宅したオスカルは、乳母より、「弾は心臓を外れたから大丈夫」と聞きひと安心。安堵して膝をつき涙するオスカルに、ハンカチを差し出して微笑んだのは、衛兵隊の制服姿のアンドレだった。この後父は、明日に迫った舞踏会にオスカルの供をするよう、アンドレに申し付ける。どこまでも無神経な親父。
舞踏会当日、衛兵隊兵舎で執務中のオスカルをアンドレが迎えに来るが、オスカルは供を断り、「そう簡単に嫁には行かん」と告げる。そしてオスカルに求婚したい貴公子が参集した会場に、オスカルは軍服のまま現れ、「女性が誰もいない奇妙な舞踏会、わたしには場違いですね」とだけ言って秒で立ち去る。ジェローデルは「連隊長らしい」と少し嬉しそう。
病床の父は報告を聞いて、「自分が間違っていたのかもしれない。でもオスカルには幸せを求める気持ちを失って生きて欲しくない」と、「幼少期から自分の気持ちを押さえがちだった」娘を気遣うのであった。で、オスカルが自分の気持ちを抑えがち?今までわたしが見ていたオスカルは幻だったんですか?