テロリスト暗躍第31話。「兵営に咲くリラの花」
パリの街ではテロリストが暗躍し、衛兵隊は出動に次ぐ出動で、オスカル着任から1か月が過ぎた。どうやら鎮圧はできていない模様。
で、面会日。アランの面会人は美人の妹のディアンヌ。洗濯物と現金を渡し、門まで送る途中でオスカルとすれ違う。「今度の隊長だ。」
隊長室ではブイエ将軍がお待ちかね。オスカルは、さっそく先日の舞踏会の件を詫びるが、気にしていない。
本題は余計な仕事の話だった。「現在訪仏中のスペインのアルドロス公の旅行を、テロリストが狙っているという情報が入ったので、護衛よろしく」との事。「それは近衛隊の仕事ではないか」という正論は、あちらが多忙との事で却下。ジェローデルさぁ!オスカルに付きまとってるほど暇なんだったら、仕事せーよ!
「出発は明日早朝。御一家の邪魔にならないよう、遠巻きに護衛するので、野営もあり得る」などとオスカルがブリーフィングをしていると、銃を持たない兵士が1人。名はラサール・ドレッセル。紛失した経緯は思い出せずとの事。仕方なく、とりあえず武器庫から代替え品を支給させる。
護衛当日、アルドロス公の馬車を直接護衛する隊と、前後に気を配りテロリストの早期発見に務める遊撃隊に別れ、護衛隊は副官のダグー大佐、遊撃隊はオスカルが指揮をとる。
一方、テロリストらは、アルデロス公一家の肖像画の前で打ち合わせ。先導者はもちろん美しきサン・ジェスト。衛兵隊が護衛しているから今日はやめようという仲間に、同志を衛兵隊に忍ばせているから大丈夫だと、自信たっぷりなサン・ジェストであった。
遊撃隊を率いるオスカルは、途中怪しげな建物を見つけ、アンドレとアランを伴って中へ入る。が、命令を無視して、1人の兵士が後を付いてくる。これがテロリストの同志。見るからに脳筋、デブ。声はデカいし動作も粗い。およそスパイには相応しくない人物のように見受けられるが、サン・ジェストから、「指揮官(オスカル)を殺せ」と言われていた。
まず、オスカルが上の階、アンドレとアランが地下へと別れるが、オスカルの後を脳筋デブが付いて来て、てっぺんのバルコニーに着いたところで撃ち合いになり、オスカルは弾を避け、脳筋デブは肩を負傷する。めげずに短剣を手にオスカルに襲いかかる脳筋デブだったが、銃声を聞いて隣のバルコニーまで駆け上がってきていたアンドレとアランにより狙撃され、絶命する。
日暮れ時、アルドロス公一家は、宿泊地アランクール村の宿舎に入り、村の中は ダグー大佐の指揮で護り、オスカル隊は野営して村の出入口と周囲を固めることになる。アンドレと2人きりになったアランは、オスカルのことを、「指揮官として立派なものだが、何かから逃げているのか余裕がない」と評し、「そんな女に惚れたら命がいくらあっても足りない。あの女はやめとけ」と言い出す。そして水筒を投げてよこすが、アンドレは取れない。目が悪いのはバレていた。口外しないでというアンドレの願いは、とりあえず承諾される。
そうこうしているうちに、サン・ジェストは、火矢を無人の馬車に命中、爆発させ、自身は仮面をつけ、アルドロス公の寝室へ。そして消火活動に忙しい部下を残して、オスカルが寝室へ向かうと、一家はまさに仮面の男に短剣を突きつけられていた。意外に諦めよく仮面は窓から脱出し、オスカルが追う。仮面が馬に乗って駆け出した時、アンドレとアランがオスカルの馬を引いて到着。3人で仮面一味を追うが、火矢が放たれ、爆発に巻き込まれる。
明け方、いち早く覚醒したアランは、オスカルの腕を掴んで倒れているアンドレに向かって、「アンドレ、がんばれ」と言い、なぜかガニ股で朝日に向かって歩き、体操をはじめる。何と解釈したらよいものか。
後日、「テロリストを取り逃がしたのは惜しかったが、アルドロス公は無事に帰国した」とブイエ将軍に労われるオスカルだったが、直後に、パリの古道具屋で売られていたという銃を渡される。ラサールが紛失した銃で決まりだったが、「売ったとあらば国家への裏切りで、銃殺にせねばならない」との事。そしてオスカルが銃を前に考え込んでいる間に、カードゲームに勤しむ隊員達の元へ憲兵隊が訪れる。直後、アランは隊長室を訪れ、「ラサールが連行された!」とオスカルを雨の降る屋外へ引きずりだし、「お前がラサールを売った!見直しかけていたのに残念だ!」「俺と勝負しろ!」と剣を投げ付け、オスカルとアランの剣の勝負が始まる。
原作だと、剣を売ったのはもっと大人数で、オスカルがたまたまパリで見つけて秘密裏に買い戻していた。咎めれど当人たちは、「家族のためにやったのだから後悔していない」と開き直り、結局何も言えずじまいだった。その他のエピソードも、今回はすべてオリジナルだ。